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カミナリグモ kaminarigumo

2022.07.29

岩崎慧(セカイイチ) カミナリグモ

#10 MY DROWSY COCKPIT

ロックンロールって髪をツンツンにして、革ジャンを着て、ギターを歪ませて叫ぶように歌うものもあれば、普通の服を着て、穏やかで冷静に、心の底の方でひんやりと刺さるような温度で暖かく歌う人たちもいる。
カミナリグモは明らかに後者で、紛れもなく無表情で刺しに行くスタンスを感じます。
言葉だけ見るとサイコパスな感じだけど、暖かくもあり冷たさも漂う、その二面性を持つ彼らを僕はロックンロールと呼びたい。

MY DROWSY COCKPIT feat.岩崎慧(セカイイチ) / カミナリグモ

啓「すごくちゃんとした、何というか音楽雑誌のレビューみたいなありがたいコメントだよね(笑)」

ゴ「コメントもらった時にやりとりしたんだけど、アーティストだから当然だよ、みたいに言ってくれて」

啓「ここで使うのがもったいないような立派なコメントで(笑)、ちゃんと向き合ってくれてうれしいですね」

ゴ「ほんとに。音楽も歌も、コメントまで完成度高いよね(笑)」

啓「セカイイチとは、がっつりツアーみたいなのはないんだけど、ラジオ局のイベントとかで一緒になってて」

ゴ「(下北沢)シェルターでやったっけ?あと宇都宮でもやったよね?」

啓「そうそう、シェルターが東京FMのイベントで、宇都宮がFM栃木(RADIOBERRY)のイベントかな。ベリテンっていうその日ごとに色んなバンドの組み合わせのイベントで、ゴマちゃんが一時サポートしてたTRIPLANEも出てたよね?」

ゴ「そうそう、どっちもトリがセカイイチで、どっちもすごく良いライブだったよね」

啓「そうなんだよ。セカイイチとやると結局全部もってかれちゃうっていう(笑)」

ゴ「すごくトリが似合うバンドだよね」

啓「主催者としてあんなに安心してトリを任せられるバンドってないよね。もちろん固定ファンがたくさんいたらどんなバンドでも盛り上がって形になるんだけど、セカイイチ、岩崎くんはそういうの関係なくもってちゃうから、すごいんだよね」

ゴ「そうなんだよね。あとはCLUB Queの大晦日のイベントとか」

啓「前後だったりしたよね。それこそ、ほんとにたくさんバンドが出るライブサーキットとかではよく一緒に名前がのってたイメージかな」

ゴ「それとあと、つばきフレンズでも一緒だったりしたよね?」

啓「そうだった、だからがっつりではないけど、共通の知り合いのバンドも多いし、接点は結構あるんだけど、セカイイチはデビューがかなり早いから、ちょっとまた世界線が違うんだよね」

ゴ「そうだね、岩崎くんは啓示くんの一つ下?他のメンバーとも一緒に仕事する機会があるんだけど、(吉澤)響(セカイイチ Dr.)さんはちょっと上かな。ウッチー(中内 正之 / セカイイチ Gt.)も多分同じくらいで、年代は近いけど、また時間軸が違うよね」

啓「LOST IN TIMEもそうだけど、自分たちがまだCDなんて全然出してない時にデビューしてて、一線でやってるイメージで」

ゴ「一時、近しかったバンドのプロデュースを岩崎君がやってたよね。なんかちょっと段階が全然違うというか」

啓「それで言うと(D.W.)ニコルズはちょうど年齢もデビュータイミングも同じくらいなんだけど、ロストやセカイイチはデビューで言うと何世代か前な感じで、今こうやって少し近いところにいることが不思議な感じがするよね」

ゴ「思い返すとそうだよなぁ」

啓「そういうのもあって、バンド同士でどうこうっていう感じではなかったんだけど、、多分、一緒にやると全部もってかれるのが目に見えてるから嫌だったんだろうな(笑)」

ゴ「ははは。今は俺はCMの仕事をよく一緒にやってるだけど、岩崎くん自体はすごい気さくだよね」

啓「僕はそこまで個人的なところは知らないんだけど、すごくミュージシャンズミュージシャンというか、ライブだけみるとファンキーな人ってイメージがあるかなぁ。CMの仕事は最初はどういうきっかけだったの?」

ゴ「最初は、ロックで派手みたいなそういう企画のCMのボーカリストを探してて、それで真っ先に岩崎君に声かけたんだよね」

啓「最初は歌い手としてなんだね。確かに似合いそう」

ゴ「それがすごく良くて、ありがとうみたいな話をしてたら、『最近CMの曲も色々やってるよー』って話を聴いて、それが歌物とかソングライター的なものかと思ったら、雰囲気の良いインスト曲もあったりして、結構引き出しが多いんだなぁと思って、それからちょくちょく色々と仕事をしていくようになった感じかなぁ」

啓「そうなんだよね、ほんと色んなことができるもんね。ロックンロールから、アコースティックな優しい感じとか、ファンキーなこともできるし、セカイイチの中での振れ幅もちょっとびっくりするぐらい広いよね。ラップしたりとかさ」

ゴ「そうだね、こないだオペラっぽい人の歌をいれる曲の仕事があって、それも岩崎君、デモでオペラっぽくクラシカルな感じで歌ってくれたりしてて、こんな引き出しもあるんだなぁとかさ(笑)」

啓「いやほんとに器用だよね。しかもそれぞれのジャンルでクオリティ高くできるっていう、なかなかそういうアーティストいないよね?だからCMの仕事がたくさん出来ると思うんだけど」

ゴ「今回参加してくれた人の中でもずば抜けて幅が広いよね」

啓「そう、だから今回歌ってもらうにあたって、多分、カミナリグモの曲、どの曲でも歌いこなせるイメージがあったかな。『Another Treasure』収録の12曲、多分どれでもいけるじゃない?入ってない他の曲も、アッパーなのもいけるし、バラードもいけるし、だから岩崎くんに合う曲、というよりこちらが歌って欲しい曲を歌ってもらったというか、まあ結果的にどれでも似合うんだけど(笑)」

ゴ「最初、啓示君は『美しい世界』が良いんじゃないかって言ってたよね?」

啓「そうそう、絶対ああいうフォーキーな感じは合うじゃない?でも岩崎くんでやると多分、原曲みたいな弾き語りっぽい感じになるだろうから、同じ方向性で原曲超えてくるからさ、またちょっとあれじゃない(笑)?他の人は全然また別軸で超えてくるから良いんだけど」

ゴ「あと『美しい世界』は優華ちゃんが絶対似合うっていう確信があったからなぁ」

啓「そうそれで、『MY DROWSY COCKPIT』のアルバムからの選曲が少なかったから、『あの虹』か『(MY) DROWSY(COCKPIT)』かっていう話になって、今回バンドサウンドじゃないトラック縛りというのがあったから、『DROWSY』の方がアレンジしやすいねってことで。杉並公会堂でやってアコースティックアレンジもあったのと、あと単純に岩崎くんにより合いそうなイメージがあって」

ゴ「そうだね、『DROWSY』いいじゃん!ってすぐに決まったよね」

啓「Aメロのやさしい抜いた感じとサビのエモーショナルな感じと、セカイイチの曲でもどちらもあるじゃない?でも意外とこの曲の終わっていく世界観って独特で、、ピロウズの『さよならユニバース』の影響もあったりするから、(山中)さわお(the pillows)さんは絶対合うんだけど、多分他の人はキャラクター的に合わないよね」

ゴ「確かにそうだよなぁ」

啓「岩崎君の歌詞の世界もこういう破滅的な孤独感みたいな曲ってあんまりないと思うんだけど、何故か岩崎くんは、そういう人を超えた音楽のところでイメージできるというか」

ゴ「言われてみればCMの仕事もそういう要素があるからね」

啓「そうなんだよね。他の人はその人の歌わなさそうなこととか、合わないだろうなぁとか気になっちゃうんだけど、岩崎くんはそれが全然ないんだよなぁ。なんか俳優さんみたいというか」

ゴ「そういう意味ではもしかして(上野)優華ちゃんに似てるかもね」

啓「そうかもね。曲の中の主人公になりきって表現することができるタイプというか」

ゴ「CMの仕事でもそうだけど、ちゃんと消化した上で岩崎君の形で表現することにすごく長けてるよね」

啓「実際、スタジオに一緒に入って、しっかり準備してくれてたんだけど、最初つるって歌ってもらった時にどうも違和感があって。ちょっと思ってたセカイイチっぽくないというか」

ゴ「ああ、そうだった、それでキーを変えたんだよね?」

啓「この曲ってサビのトップがG#でまあ一般的な男性ボーカルのキーというか、少し高いくらいな感じで、最初はもしかして高いのかな?って思って。ほら結構他の人でキー下げることが多かったから」

ゴ「そしたら逆に岩崎君的には低かったみたいで、半音上げようってことになったんだよね」

啓「それで歌ってもらったら、『これだー!』ってなって。イメージしてた岩崎くんの抜くところと張るところが抜群で」

ゴ「Aメロのところは結構ニュアンスを詰めながらやったよね。最終的にはサビとのコントラストもあるから、かなり抜いて歌うテイクになって」

啓「岩崎くんってそこまで声高いイメージがなかったんだけど、張って太く出せるから高い音域でも高く聞こえないんだなぁと思って。僕もそうだけど、どうしても高い音域って細くなるというか、それで実音より高く聞こえたりするんだけど」

ゴ「確かに高い音域もしっかり出るからね」

啓「結局トップがAになって、このAって男性ボーカルでは結構分かれるところで、特にロングトーンで出せるかどうかっていう。『粉雪(レミオロメン)』とかがそうなんだよね」

ゴ「『粉雪』もサビのトップがAだね」

啓「あれがちゃんと歌えるかどうかみたいな(笑)。僕はAはフレーズの中だといけるけど、ロングトーンになるとかなり無理する感じになっちゃうからさ。それで岩崎君に『じゃあ”粉雪”もばっちり歌えるんだねー』って言ったら、『あー、歌える、歌える!』てなって(笑)」

ゴ「絶対似合うよね、カラオケで聴きたい(笑)」

啓「最後のアウトロのロングトーンも絶妙にエモーショナルで、最後の最後のAメロに戻るところもいいよねー。主人公の孤独感と少しの希望みたいなところを完璧に歌いきってくれて、優華ちゃんと一緒で作り手として楽曲の世界が広がったうれしい感覚があったかな」

ゴ「いやぁ、抜群に良かったね」

啓「正直、僕だけだとお願いできる間柄じゃなかったら、ゴマちゃんが最近仲良くしてもらえてたのもあって、今回参加してもらえて、しかもあんなうれしいコメントももらえて(笑)、ほんとにありがたかったですね」

ゴ「ねー、良かったよね」

啓「今度8月6日に浜松で一緒にやりますね」

ゴ「ほんとはライブ前になっちゃん(kainatsu)と一緒に飲もうっていう話をしてたんだけど、またコロナも増えてきたからね、、」

啓「ライブ前に体調悪くなったらいけないってことで、残念だけど仕方ないですね。僕としては岩崎くんとちゃんと飲んだことがないので、ライブ前に仲良くなっておきたかったんだけど、、まあ一緒に移動もするし、車内で仲良くなろうと思います(笑)」

ゴ「ああ、そうだね。日帰りだけど楽しい旅にしたいね」

啓「なんかゲームでもしますか?古今東西とか(笑)」

ゴ「朝早く出るからみんな寝てるんじゃないかな(笑)」

啓「たしかに(笑)。『DROWSY』のセッションも楽しみだし、岩崎くんのステージもゴマちゃんがちょっと出たりするんだよね?」

ゴ「そうそう、啓示君はなっちゃんのステージに出るんでしょ?」

啓「前にセッションした『hello』をまた一緒にやりたくて。ゴマちゃんが出ると鍵盤と鍵盤で被るからね」

ゴ「それも楽しみだね」

啓「とにかく体調に気をつけて、無事ライブを開催して、打ち上げはまた改めてやりましょう」

 

- TOUR -

- RELEASE -

- 15th Anniversary Special Album-
「Another Treasure」

- 6th Album-
「Another Trip」