白い雨 feat.成山剛(sleepy.ab) / カミナリグモ
啓「実は出会いだけで言うと、結構早いんだよね、成山さんとは」
ゴ「そうだね、当時、ASIAN2っていうミクチャーバンドのサポートをやってて」
啓「ゴマちゃんがサポートしてた松本在住のバンドだよね、エイベックスからデビューしてた。2007年か、2008年ぐらいだよね?」
ゴ「結構色々全国まわってたところで、たまたま北海道の学園祭に誘われたことがあって、たくさんバンドが出たうちのASIAN2の出番の前がsleepy.abだったっていう」
啓「全然ジャンル感ちがうけどね。180度違う(笑)」
ゴ「割とゴリゴリのラップがあってっていうバンドで、その前で成山さんの声が野外ステージに鳴り響いて」
啓「それは気持ち良いだろうな」
ゴ「一気に好きになってエレベーターで一緒になった時に、声かけてCD交換してもらったんだよね。ただASIAN2だとジャンルが全然違うから、すごい言い訳して(笑)。『自分のやってるバンドは全然違う感じで』って」
啓「ちょっと色々思い出して来たんですけど、当時、カミナリグモはASIAN2の元マネージャーの方が立ち上げた事務所に所属することになって、それで2008年になっちゃん(kainatsu)もいた力塾からデビューして、2枚目の「王様のミサイル」のシングルの時に愛知のテレビ局が主催してた24時間テレビのイベントに出たの覚えてる?」
ゴ「ああ、あったねー」
啓「なんか街中にある色んな野外の会場でライブをするっていう企画で、めちゃくちゃ雨が降ってて大変で」
ゴ「確かサポートのパーカッションと3人でまわったよね」
啓「そう、それで結構みんな疲れ果ててぐったりしてた帰りの車の中で、ゴマちゃんが『こないだ札幌でめちゃくちゃ良いバンドと対バンして』って車の中で聴かせてくれたのが『ねむろ』で」
ゴ「ああなんかそうだった気がする」
啓「あのもう包み込まれるような成山さんの声と、聴いたことがない山内さんのキーボードみたいな音色のギターが衝撃的で、なんだこれはーってなったのを覚えてますね」
ゴ「そうそう、それでいつか一緒にやりたいねぇって」
啓「そう考えると、秋野(温【鶴】)くん、なっちゃん、成山さんの出会いの順になるのかな」
ゴ「そうだね。あとはその、sleepy.abのローファイさ、みたいなところがあるじゃん?」
啓「あるねぇ」
ゴ「当時、ローファイっていうとポップスにローファイさを落とし込むイメージがなくて、どっちかというと、ちょっと特異なというか」
啓「アングラな感じ?」
ゴ「そうだね。そういうもんだと思い込んでいて、おもしろいけど、ポップには落とし込めないっていう固定概念があったけど、sleepy.abはすごいローファイだけど、すごいポップだったし、おもしろいんだけど、名曲感があるというか」
啓「それはすごく分かるなぁ」
ゴ「こういうやり方がありなんだなと思ったのがすごい大きかったな。そういう意味ではsleepy.abにはすごく影響を受けてるんだろうね」
啓「カミナリグモでアレンジするときも、ああいうアンビエントでローファイな質感を目指したい時はよくリファレンスしてるもんね」
ゴ「山内さんのギターは憧れたなぁ。こういうことをキーボード的に再現したいって」
啓「よくプリプロしてて、鍵盤を山内さんみたいな音色にしようみたいになってましたもんね」
ゴ「逆に俺はキーボードでギターみたいな音を出そうとしたりして」
啓「当時やっぱりサウンド的にも色々試行錯誤していた時期で、1枚目のツキヒノォトの感じと、その後(山中)さわお(the pillows)さんのプロデュースがあって、それ以降のバンドの感じと、また一周まわって今ではこういうのがカミナリグモみたいなサウンドっていうのはあるんだけど、当時は僕もアコギしか弾いてなかったし、ゴマちゃんの鍵盤のアプローチも今とはまた違ってたよね」
ゴ「アレンジワークとしては、もちろん計算はしてたけど、計算っていうのがもっと綺麗な計算だったんだよなぁ」
啓「綺麗なっていうのは?」
ゴ「歪みの作り方、とかかな。それまでも歪ませた音色は使ってたりしたんだけど、もうちょっと淡白だったというか」
啓「そう考えるとサウンド的なところでカミナリグモとしてはすごく影響を受けたバンドでしたね」
ゴ「ある種sleepy.abっていう独自の世界観で、確固たるものがずっとあるのがすごいよね。確実に影響を受けたと思うな」
啓「それでその後、札幌で一緒にやらせてもらったり、東京で僕たちの企画に出てもらったり、成山さんとは僕が弾き語りで一緒にまわらせてもらったり、最初の出会いから繋がって仲良くさせてもらえて本当に幸運ですね」
ゴ「ね、それで今回のゲストボーカル企画にも参加してもらえて」
啓「最初はやっぱり住んでるところが遠いし、このコロナ渦でなかなか東京に来る機会もないだろうし、そもそもお願いできるかどうかっていうところから始まって」
ゴ「でも難しい場合は、札幌とリモートで繋いでレコーディングしようということになって、正式にお願いすることになったんだよね」
啓「そう、ただカミナリグモの歌詞のちょっと少年っぽい世界観が成山さんに合わないような気がして、結構選曲に迷って、、『夕闇』とか『patchwork』はちょっとsleepy.abを意識した曲だったりするので、絶対合うだろうなというのはあったけど、やっぱり主要な曲を歌ってもらいたかったので」
ゴ「結果的に『白い雨』はばっちりだったよね」
啓「ねー、メロディラインは合う確信があったんだけど、いざレコーディングが始まったら歌詞の世界観も全然違和感なくてびっくりしちゃいました。『あたらしい僕になるんだ 決めたんだ』とか絶対言わなそうなのに(笑)」
ゴ「そうだね。成山さんの中で消化し切ったような言葉の出し方がすごい良かったよね」
啓「なんかもっとほんとに全然違う世界観の、例えばロックンロールなオラオラの曲とか、案外、成山さんが歌ったらそれっぽくなっちゃうのかなって思っちゃいましたね(笑)」
ゴ「確かに。それと思ったのが、ああいう甘めな歌い方だけど、結構、滑舌、というか言葉が立ってるんだよね」
啓「言われてみればそうかもね」
ゴ「俺がミックスしたからデータも見てるんだけど、波形的に見ても割と尖った波形がちょくちょくあったりして」
啓「そうなんだ。その、甘いけどが滑舌がしっかりしてるところが、成山さんの声の特徴なんだろうね」
ゴ「今回、やっぱりサウンドもsleepy.abを意識したところはすごくあったよね」
啓「結局、楽器構成も違うし、また違った感じにはなってしまうんだけど、自分的にはギターは結構がんばりましたね」
ゴ「ギターのフレーズ良かったよね」
啓「さわおさんソロの『DAWN SPEECH』のアルペジオとちょっと似てるんですよ(笑)」
ゴ「はいはいはい(笑)」
啓「まあでもテンポも譜割も違うんですけど、結構よくできたなぁと思っていて、そこにあの成山さんの声がのって、普通にリスナーとしてsleepy.abを聴いてたから、すごく不思議な気持ちで」
ゴ「ほんとそうだね。まあみんなそうだけど、こうやって長い歴史の中で一つこういう作品を残せたことがほんとにうれしいよね」
啓「結果的にリモートじゃなくてちゃんと立ち会って出来たこともすごく良かったですね」
ゴ「やっぱりレコーディング前にお互いの近況報告とか、話をする時間がほんと大事だよね」
啓「思い出話とか。結構みんな最初の一時間くらいは無駄話をしてから始めるっていう(笑)」
ゴ「あれがあった後にレコーディングがあるから」
啓「まあね、コミュニケーションが取りやすくなってね」
ゴ「リモートだったら全然違うテイクになってたかもしれないよね」
啓「絶対そうですよね。そういえば、なっちゃんがsleepy.abのファンだったから成山さんと並びでうれしいって感想があって」
ゴ「そうなんだ」
啓「そしたら成山さんもAIR-G’(FM北海道)で前になっちゃんの曲を聴いたことがあっていいなと思ってたらしくて」
ゴ「へー、そういう参加してくれた人同士の繋がりもうれしいよね」
啓「ほんとにそうですね。そう、それでコメントでも『ライブで一緒に歌える日を楽しみにしています』って書いてもらってますけど、追加公演で、本当に久々の札幌ライブが決まりまして、『続きのブランクペーパー』が最後だから7年ぶり?」
ゴ「そうだねぇ、ほんとに久しぶりだね」
啓「結構空いちゃってどのくらいの人が来てくれるのか不安なところもありますけど、、せっかく成山さんが参加してくれたからには札幌行きたいなっていうのがあって、もちろんこの『白い雨』も一緒にやりたいし、北海道の方はもちろん、旅行がてら色んなところから来てもらえたらうれしいですね(笑)」
ゴ「そうだね、何とか成功できるように、がんばりたいね」
啓「終わったら成山さんおすすめの居酒屋で飲みましょう(笑)」
ゴ「楽しみだねー」
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