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カミナリグモ kaminarigumo

レコーディング打ち上げZoom座談会

カミナリグモ

Bass.菅野信昭(FoZZtone) / Dr.堀正輝

- 前編 -

2020.06.22

【上野啓示 / ghoma / 菅野信昭 / 堀正輝 *interviewer: 浅野保志(ぴあ)】

啓:「今日は二人ともありがとう。浅野さんもいつもありがとうございます」
浅:「こちらこそありがとうございます」
啓:「あれ、そういえばレコーディングっていつだっけ?」
ゴ:「えーと、9月(去年)」
菅:「9月?」
啓:「そう。だから、もう全然覚えてないと思うけど」

– 一同笑い –

啓;「かすかな記憶を頼りに(笑)。ゆるい感じでいきましょう」
堀:「さっき改めて聴いたら、俺こんなドラム叩いてたんだって(笑)」
ゴ:「差し替えたりしてないから(笑)」
啓:「じゃあお酒飲みますか?ゴマちゃんが二人から希望聞いて事前に送ってるはずなんですけど。まず菅野くんは?」
ゴ:「菅野くんはとりあえずワインがいいって言うからシャトー・モンぺラってやつを買いました。赤ワイン」
啓:「いいやつ?」
ゴ:「フランスのちゃんとしたボルドー地域のめちゃくちゃ味が濃いやつです」
啓:「ゴマちゃんはワインにうるさいんですよ」
菅:「ゴマちゃんに選んでもらいたくてワインを。ありがとう!ちょっと栓を開けるんで」
ゴ:「ある漫画でロックミュージシャンのためのワインって言われてて」
啓:「あやしいね、ほんとに(笑)?」
ゴ:「いやシャトー・モンペラって割と有名なワインだから」
啓:「たしかに名前はキャッチーだね。堀くんは?」
ゴ:「堀くんにはちょっと変わったビールを送ったんだよね」
堀:「ちょっと栓開けるね。これビールだよね??」
ゴ:「イネディットっていうスペインのビールなんだけど」
啓:「いいなぁ」
ゴ:「結構ワインっぽいフルーティな香りがするやつで」
堀:「へー」


啓:「堀くんはライブの時は車で来てるから飲めなかったりするし、それ以外で飲んだ時は確かにビール飲んでるイメージだよね」
堀:「実は最近飲んでないんだよね、久しぶりー!」(ビールをグラスに注ぐ)
ゴ:「あ、堀くん!香りを楽しむときはビールを半分くらいで注ぐのちょうどいいらしくて」
堀:「そうなんだ、ちょっと泡が多くなっちゃった」(ビールの香りを確かめる)
啓:「で、ゴマちゃんはやっぱりあれ?」
ゴ:「俺は白ワイン」
堀:「似合うなぁ(笑)」
ゴ:「オーストラリアのマーヴェリックっていうちょっと新しいワイナリーで、まとめ買いですごく安く買えて。啓示くんは?」
啓:「僕はほんとに申し訳ないんですけど、あのー、コロナビールです」

– 一同笑い –

啓:「いや別に狙った訳ではなくて、、本当は別の輸入物が良かったんだけど、近所のカクヤスにいったら、国産かコロナかしかなかったんだよね。元々好きで、ちゃんとライムもつけてます」
ゴ:「まあ二択だったらそっちだね。浅野さんは?」
浅:「僕はバドワイザーで」
啓:「バドワイザー、僕も好きです。薄いビールが好きです」
啓:「じゃあゴマちゃんの音頭で」
ゴ:「えー俺?えーじゃあひとまず、だいぶ時間がたっちゃったけど、、ありがとうございました!」
一同:「お疲れ様でしたー!」

菅:「おーうまい」
堀:「うま!」
啓:「いいなぁー、堀くんのいいなぁ」
堀:「めっちゃフルーティーだよ」
啓:「菅野くんはどうですか?」
菅:「いやめちゃめちゃね、、、美味しいですよ(笑)」
ゴ:「ワインの品種もメルローっていうのを主体にしてるから割と口当たりがいいっていうか」
菅:「渋みもそんなになく、全部がバランス良い感じ」
ゴ:「シャトー・モンぺラは毎年飲んでるかも」
啓:「浅野さん、どうですか、バドワイザー?」
浅:「美味いっす(笑)」

– 一同笑い –

浅:「じゃあそろそろ色々聞いていっていいですか?」
一同:「はい、お願いします」

浅:「まず最初にお聞きしたいのは菅野さんと堀さんがどういう経緯でカミナリグモと出会って、ライブで一緒にリズム隊をなさった時に僕も拝見してるんですが、そこから今に至るまでのところを、まず菅野さんからお願いできますか?」

菅:「はい、えーとFoZZtoneのツアーでシャングリラ(大阪)に出てもらったのが最初?」
啓:「2011年か12年か」
ゴ:「いや10年じゃない?あれ11年?もう分かんないや(笑)」
菅:「そこで一緒になったのがきっかけでその後、(下北沢のCLUB)Queで一緒になったり」
啓:「ああ、クアトロでアニバーサリーのワンマンやる前にアコースティックの企画をやろうってことになって、(FoZZtoneの)渡會(将士)くんに出てもらって」
ゴ:「そう、それで菅野くんたしかアップライトベースでやってたね」
菅:「そうそうそう。その時に結構しゃべったなって気がしたんだよな。『バンドスコアを俺、物販で作ったよ』みたいな話した気がする」
ゴ:「なんかおもしろいことやってるって盛り上がったの覚えてる」
菅:「そっから『年近いじゃん、啓示くんと一緒じゃん』みたいな話になって」
啓:「数少ない同い年だよね」
菅:「きっかけはそんな感じですかね」
啓:「それがあって、カミナリグモの休止前のライブもやってくれたりして」
菅:「あー森(信行)さんと。その時がカミナリグモ、初めてだよね」
啓:「結構、無理なタイミングでお願いする形になってしまったんだけど、快く引き受けてくれて、ありがたかったなっていう」
ゴ:「そうだね」
啓:「しかも最初ちょっとFoZZtoneってちょっとこわい印象があるじゃない?」
菅:「あーあー、よく言われる(笑)」
啓:「菅野くんも一見こわく見えて、なんかちょっとね、誤解してたんだよね(笑)」

啓:「一緒にやったらすごく物腰が柔らかくて、やさしくて、ベース上手いし」
菅:「ありがとうございます(笑)」
啓:「それから僕のソロでも一緒にやってもらったり、ゴマちゃんもね、他の音楽の仕事で」
ゴ:「そうだよね、いつのまにかって感じだよね。ちょいちょい飲みにも行くし」

浅:「では続いて堀さんは最初の接点はどんな感じで繋がったんですか?」

堀:「あれは、、打ち上げっすよね?」
啓:「そう」
堀:「僕、札幌出身で2013年に上京したんですよ。上京して友達そんなにいないんで、知り合いのライブとかに行こうと思って色々やってたら、札幌からsleepy.abっていうバンドがライブしにくるっていうので、見に行ってカミナリグモとツーマンだったんだよね」
ゴ:「そうそうそう」
堀:「Queでツーマンやってて、ライブ後打ち上げ呼んでもらって、その時にカミナリグモを紹介してもらってそれが初ですよね?」
ゴ:「そうだね」
堀:「その後、啓示くんのソロをやった時に菅野くんと会ったんだっけ?」
菅:「そうそう」
啓:「カミナリグモが休止になって、ソロでもバンドでやりたいなって時に、今までは先輩とやってたんだよね、だから」
堀:「そう、同い年でね」
啓:「一回りくらい上の先輩とやってきてちょっと後輩感が出過ぎてて、あんまりそれもちょっと、、自分の年齢も上がってくるし良くないなと思って。ソロは年が近い人を探していて、堀くんと菅野くんが同い年だったっていう。ゴマちゃんもなんやかんやで二つ上だしね、あんまりそういうキャラではないけど(笑)」
ゴ:「あ、そういえばそうだったね(笑)」
啓:「年上の人と何かをすることが多かったから、それはもちろん貴重な経験だったんですけど、、やっぱり同い年って、学生時代に戻ったみたいで、いいなっと思いましたよ、はい」

浅:「今伺っていて、繋がりだったり同世代っていうところはすごく分かりました。ではお二人ともそういう流れで啓示さんのソロから始まって、カミナリグモの音楽に自分が入っていく中で最初どういう印象がありましたか?まず菅野さんどうですか?」

菅:「いつからカミナリグモをちゃんと音源で聴いたのかは覚えてないんですけど、ほんとに【王様のミサイル】とかめちゃくちゃ良いじゃんって、そっから音源とかもいっぱいもらって、それも聴いたらめちゃくちゃ良くてすごい好きだなと思って、邦楽のバンドの中で聴いてる回数上位に入るくらい聴きました、カミナリグモは」
ゴ:「あ、そういえば確かにそういうLINEもらった記憶がある」
菅:「すごい聴きましたね、だから単純に好きな曲演奏できるのすごいうれしいなと思って。はい、喜んでやりまーす、って感じでしたね」

浅:「なるほど、そうだったんですね。では堀さんにぜひ伺いたいのは、堀さんが叩かれてるアーティストの方はやっぱり色々耳に入っていて、結構幅広い音楽性のアーティストを叩かれてるなっていう印象があったんですけど、北海道から出てきて接点が出来たカミナリグモの音楽世界に対して、実際に一緒にやってみようというところではどんな感じで入っていったんですか?」

堀:「結構、難しいところなんですけども、、最初にライブ見た時はめちゃくちゃ好きな音楽だって思ったんですよね。思ったんですけど、自分がやってきた音楽とカミナリグモの根底にある音楽は違っていて、全く違うものなんですけど、出来上がったものが僕が好きなものではあったんですよ」
啓:「うれしいね」
堀:「で、ああこのバンドいいなぁって見てて、それで休止になるって聞いて、休止になって再開するまでの間に啓示くんのソロをやったのと、あとゴマさんがバンマスでやってるサポートを一緒にやらせてもらって、そこでは二人がカミナリグモとちょっと違うことをお互いやっていて。カミナリグモを聴くとその要素はどこかにあるんですけど、だけど違うことを一緒にやらせてもらって、それで再開ってなった時に、カミナリグモの初期は知らないんですけども、多分僕の血にはないものだなっていうイメージが最初あったんで、再開してから参加するっていうのが、多分自分には一番自然な感じで入れたなっていうイメージで」
ゴ:「なんかねー、堀くんがやってるARDBECKを音源で聴いた時もそうだけど、めちゃくちゃ上手いしおもしろい音だなぁって思ったけど、当時やっぱそれがすぐに合致するとは思ってなくて、まあ今の段階では多分ちょっと一緒にはできないなぁと思っていて、でもたしか80kidzのライブを多分見に、(渋谷の)La.mamaだっけ?一回見に行って」
堀:「あー、やりましたね」
ゴ:「そうそうすげー覚えてて、それでジャンルは違うけど、やっぱりすごい堀くんはいいなぁと思って。カミナリグモでやってる音楽とは違ったけど、なんかこういうところを取り入れた感じでおもしろいことやりたいなぁって。それで啓示くんとソロのかけらフィルムでやった時になんかこういうのもいいなぁ、一緒にやりたいなぁって思ったのすごい覚えてるね。でも当時はカミナリグモ休止してたから早く一緒にやりたいと思って、別のアーティスト、(上野)優華ちゃんでメンバーも俺がアサインできることになって、真っ先に堀くんに声かけたのすごく覚えてるな」
堀:「それはありがたい(笑)」
ゴ:「いずれはカミナリグモでやりたいと思ったけど、まずは別のスタンスで一緒にやりたいなぁと思って。まあでもそういう意味で堀くんの音自体はカミナリグモとしてはすごい新しい音を持ってきてくれてるなぁと思ったりとかしてて」

堀:「多分、ほんとに俺も感じてたのは、休止する前の段階では、自分がそこに綺麗にマッチするっていうのはあんまりイメージできなかったっていうか。今だと、何ていうのかな、みんながアップデートしていく中で、常に新しいもの、新しいものってなっていく中で、そこにまあ、、異物というほどまで違うと俺は思ってないんですけど、マッチできるところもあるけど、やってきた音楽の種類が違うというか。その違いはあるなと思うんですけど、そっちの良さも分かってるし、こう上手くできるようになったのは時間が経って、レコーディングに呼んでもらった時にすごい自分的には結構手応えがあったというか。なんかあの曲聴いて、自分がこれを叩くんだなってすんなり入れたなって、個人的には」
ゴ:「なんかすごい前に堀くんが、『今まであんまりこういうジャンルの音楽をやってきてないんですけど、僕で良いんですかね?』って言ったのすごい覚えてて、でもなんか全然そんな感覚なかったんだけど。まあ確かに堀くんが今までやってたジャンルを考えたら、違うことを求めてるなと思ってたけど、堀くんのすごいところは、そういう場面になったところで、ちゃんと時間をかけて消化してきて、その自分のサウンドをその中に持ってきてるのがすごいなと思って」
堀:「めちゃくちゃ優華ちゃんで勉強しました(笑)。あと啓示くんのソロでもけっこうめっちゃ学んで」
啓:「そうだね、結構やってきてくれたなって感じはしたね」
堀:「なんかね、そう、まず学んでから自分を出していこうみたいな。で、その今回のレコーディングでは自分も出せたって感じ」
ゴ:「そういうバンドっていうかアーティストに愛情をちゃんと注ぎながら音を作ってくれているのはすごい感じるから、それはうれしかったなぁ」

浅:「今お話を伺ってて、僕は先輩とやっていた頃のカミナリグモも拝見していて、二人だけの打ち込みのステージとか色々と見てたんですけど、菅野さんと堀さんがカミナリグモとやるライブにお邪魔した時に、あ、この二人がカミナリグモの音楽を支えるというか、彩った時が、史上カミナリグモのライブを観た中で一番衝撃的だったんですよね。それで今回アルバムに参加すると聞いてすごく楽しみだったんですけど、伺いたいのは今回、全部で13曲のラインナップをカミナリグモが作った中で、この2曲を二人にやってもらおうと思う判断というか、その理由を聞きたいのですが」

堀:「それ、俺も聞きたいです(笑)」
菅:「聞きたい!」

後編に続く –

カミナリグモ 5th Album
「SCRAPPY JEWELRY」