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カミナリグモ kaminarigumo

レコーディング打ち上げZoom座談会

カミナリグモ

Bass.菅野信昭(FoZZtone) / Dr.堀正輝

- 後編 -

2020.06.29

【上野啓示 / ghoma / 菅野信昭 / 堀正輝 *interviewer: 浅野保志(ぴあ)】

浅:「【一秒先】と【手品の続き】のリズム隊をこの二人にやってもらったっていうのは、すごくこのアルバムを聴いてて興味があったところなんですけど、啓示さん、ゴマさんそれぞれから、何故この曲にこの二人を起用したのかを聞きたいです。」

啓:「これは結構シンプルで、菅野くんと堀くんはライブでもメインでやってもらっていたというのが大きくて。当時こういうアルバムを作ろうっていう企画があって、実際、このメンバーでレコーディングを始めた頃は、他のミュージシャンはまだそこまでちゃんと決まってはいなかったんだよね」
ゴ:「そうそう、一番最初だったしね」
啓:「ただレコーディングは早く始めたいっていう時に、収録曲も色々候補がある中で、この2曲はまず絶対にバンドでレコーディングしたいっていうのは決まってて、かつ堀くん、菅野くんがプレイすることに対してすごくイメージが湧いたってとこかなぁ。もしかして最初から全部構想が決まってたら、、うーん、まあそれでもこの2曲かなぁ」
ゴ:「まあ、今思えばね。俺もそう思った」
菅:「なるほどね」
啓:「今回、それぞれに頼んだ2曲って結構違うんだよね、質感が。それこそ神田くん(鶴)となおさん(つばき)に頼んだ曲は、結構ロックンロールな感じで、あの2曲はやっぱりあの二人だから出たグルーヴだなと思ったりもしたし。多分この2曲って、、まあ【一秒先】は今までのカミナリグモにはあんまりない感じなんだけど、ライブでもやってもらってた流れでカミナリグモの曲に対する二人の音も分かっていたからイメージしやすくて、自分の頭の中でデモの時から二人の音が鳴ってたかなぁ」
ゴ:「あと【手品(の続き)】はもう結構何年も前から、アコースティックや色んなアレンジで作ってはいたし、【一秒先】は比較的新しいかもしれないけど、アルバムに入れることは決まっていて、そういうマストな曲として、やっぱり、まずは安心したメンバーとやりたいっていうところで、『この2曲を二人に』っていうところはあったかな」
啓:「そうだね。結果的になんか、、『こんなに時間経っちゃってごめんなさい』って感じなんだけど(笑)」

啓:「レコーディングからリリースまで。一番最初に頼んじゃったから」
堀:「【手品(の続き)】めっちゃ良い曲っすね」
啓・ゴ:「あー、ありがとう(照)」
啓:「いやほんとに色々初めてだったんだよね。休止前はバンドレコーディングはメンバーもほぼ固定だったし、こうやってプリプロして、こうやってレコーディングするみたいな、固まったやり方で3枚アルバムを作って、その後、二人だけでリズムはトラックを駆使してやってた時期もあって、休止後はそこからちょっとまたスタンスを変えて、レコーディングでも生の音を入れてっていうところで、結構自分たち的には実験的な要素がたくさんあって」
ゴ:「そうだよね」
啓:「今までプリプロ用にスタジオ入ったりしてたけど、、今回はある程度作った上でスタジオでディスカッションしながらというところで、スタジオも初めて使うスタジオだったり、色々カミナリグモとしては新しい体制で、初めてのことを一緒に共有してもらったというか。この二人だったからすごく自分たちもリラックスしながら意見を言えたりできたっていうかね。最初のレコーディングで気心知れた二人と一緒にやれてとても良かったっていうのはあるかな」
ゴ:「たしかに安心して一緒に作れたなって。あと【手品(の続き)】はずっと完成形が見えなかった曲だからこそ、二人にお願いしたかったっていうのはあって、今回ようやく完成してすごく良かったなぁって改めて思ってる」

浅:「ファンだったり、リスナーの気持ちからすると、クレジットの名義で「作曲」は啓示さんだったり、ゴマさんだったり、カミナリグモだったりする中で、“編曲”は全てカミナリグモになっていますけども、この二曲に関して、さっき啓示さんから『すごく安心して最初にこの二曲を二人にお願いしたかった』っていう言葉がありましたけど、実際にどういうキャッチボールやアイディア出しをしてこの形に完成していったのかすごく興味があって、その辺りの作っていく工程をぜひ聴かせていただきたいなと。まず菅野さんはこの2曲、どういうやりとりでレコーディングしていったんですか?」

菅:「まず、いただいたデモがかなり完成されてたんで、『あれ?このままリリースしていいんじゃない?』っていう(笑)」

ゴ:「結構作り込んじゃうからね(笑)。今回スタジオでプリプロもなかったし、俺も啓示くんもデモの段階で細かい詰め作業をするから。いきなり本番でレコーディングするためにもこっちのイメージをしっかり形にして伝えることが多いかな」
菅:「そう、だからそのデモを元にニュアンスとか辻褄合わないところとかどうしようかなっていうぐらいで、何のストレスもなくスムーズにいったなっていう」
啓:「結構、堀くんが録り終わった後になんか色々やってなかったっけ?」
ゴ:「サビは割と結構決めていたけど、それ以外のAメロ、Bメロ、間奏とかはその場でアイディア出ししてもらったと思う」
菅:「多分、ゴマちゃんの別件のレコーディングの仕事とかで、そこでゴマちゃんがこういうの入れてみたいなのは何となく分かっているつもりもあって」
ゴ:「ははは、ありがとう(笑)」
菅:「スライドのニュアンスとか」
ゴ:「スライドとか、俺ああいうグリスが大好きだから(笑)」
菅:「音止める、伸ばす、のメリハリとか気をつけたり」
ゴ:「元々菅野くんの好きな音色も知ってる上で頼んでるから、出音に関してもっとこうしたいとか、ベースの竿を変えたいとかさ、そういうのはなかったから、あとはベースとしての細かいニュアンスは詰めたような気はするけど」

浅:「ということは、設計図はカミナリグモ二人できちっと作っている中に菅野さんが生身のベースで乗っかっていくようなイメージですか?」

ゴ:「そうですね。菅野くんが弾きそうなフレーズだなぁと思ってデモも作ったりしてたし」
菅:「もう完コピですよ(笑)」
ゴ:「いやそんなことはないんだけど(笑)。完コピできるくらいの準備から始めてもらったからすごいやりやすかったけどね」
啓:「音色とかは?」
菅:「そんなに変えてないかな、エフェクターも踏んでないし」
ゴ:「菅野くんの素の音が良かったから、ラインを基本に作ってて」
菅:「一応、アンプも鳴らし、、た?」
ゴ:「うん、でも7:3ぐらいでラインだった記憶があるな」
啓:「なんか二人は分かり合ってますね(笑)」

浅:「では堀さんに伺いたいんですが、さっき菅野さんから『ある程度緻密に練られたデモが送られて来て』っていう話があったんですけど、そこから実際にご自分ではどういった感じでドラムのアレンジを組み立てていきましたか?」

堀:「いやもう、、完コピっすよね(笑)」

ー 一同笑い ー

堀:「自分も打ち込んで曲作ったりするんで、ここはこのままやってほしいのかなとか、逆にここなんでもいいよっていうところも何となく分かるんで。その辺も踏まえてまずは完コピスタートで、でもこの辺はもっとこうしてみたいなのも出てきそうだなぁとか想定して」
ゴ:「すごく覚えてるのが、堀くんが『ここは意思があるフィルだと思ったんで』とか『でも三サビはもっとこういう表現の方が』とか、他にも色々言ってくれて、こちらが意図していた部分を全部理解してくれていたのがおもしろかったなぁ」

堀:「そもそもメロディーとか歌詞とかと一緒でリズムにも曲と一緒に物語がないと、やっぱり『あれっ?』ってなるじゃないですか?」
ゴ:「超分かる」
堀:「曲としては別に『あれっ?』ってなってないんですけど、その物語を頭から聴き進めていくと、『ドラムここはこれでいいんですか?』みたいなところも出てくるじゃないですか、やっぱり。ドラマーだから分かるみたいなところが。だからそういうところはゴマさんと確認しながらやった、みたいな」
ゴ:「まあぶっちゃけリズムはさぁ、デモではとりあえずって感じで打ち込みをコピペしちゃってるところも結構あるから。曲作りの時はね」
堀:「(デモの)コピペの部分も分かります(笑)」
ゴ:「だいたいそういうコピペの箇所はざっくりだから、後は生でやってみればいいかなって思ってた所は、堀くんはもうだいたい変えてくれたりしてたから、『いやぁ、いいねぇ』って(笑)」

浅:「お話を伺っていると、お二人がそれぞれカミナリグモと出会って、それから啓示さんのソロのタイミングだったり、ゴマさんの他の仕事だったりとかで色々音楽的なキャッチボールもしつつ、その辺の積み重ねが全部上手くいってこの二曲に行き着いたんですね。できればまた、色んな経験を重ねて来た四人が、息を合わせて演奏するってことが観られたらすごく贅沢だなぁと思いました。レコーディングの様子はやっぱり想像して聴くから、リスナーとしては」

啓:「ありがとうございます。でもなんか不思議ですよね、ソロのバンドでは年が近い人でやりたいっていうのがあったんですけど、最初、菅野くんに声かけるのはためらっていて。何故なら菅野くんはカミナリグモでもやってたじゃない?別物にしたいっていうのがあって。それでまた活動再開の時には逆に堀くんがやるのがちょっとどうなんだろうと思ってたの。ソロと一緒になるから」

ー 一同笑い ー

啓:「まあお客さんはそんなの気にしてないと思うんだけど。ゴマちゃんも(上野)優華ちゃんだったり、他のCMの仕事だったりで二人と一緒にやってたっていう流れもあったんですけど、巡り巡って、ライブもレコーディングもこの二人でできたっていうのは不思議な縁を感じるよね」
ゴ:「たしかに」
啓:「しかも堀くんはあれでしょ?ゴマちゃんに『カミナリグモやらないんですか?』って焚きつけたっていう」
堀:「ずっと言ってましたよ」
ゴ:「そう何回か聞いて、まだ休止してる時とかはいつかできればいいなぐらいに思ってて、で堀くんから『いつやるんですか』みたいなのを何回か聞いた時に、何となくうっすらやりたいなとは思ってはいたけど、なんかそういう風に言われたらやっぱりやるよなぁって思ったきっかけに堀くんはなってるなって」
堀:「言って良かったっす(笑)続けて」
啓:「いやいや、『ライブやりたいです』みたいなこと言われたから、それはやっぱり堀くんとライブするでしょうって(笑)」
啓:「僕はまさか堀くんとカミナリグモでやるとは思ってなかったけどね(笑)」
ゴ:「まじでー?」
啓:「別物だと思ってたから。ちょっと盗られた感があって。(ソロのバンドで)僕が考え出したこの二人の組み合わせを(笑)」
堀:「どっちも自分のバンドじゃん(笑)」
ゴ:「俺はすごくやりたいと思ってたけど、堀くんがそうやって言ってくれて『同じ気持ちだったんだなぁ』ってうれしかったのはすごく覚えてるな」
堀:「ずっと言ってましたからね(笑)」

浅:「なんかそのエピソードはファンの側からするとすごい『掘さんに感謝!』っていう気がしますね」

ゴ:「堀くんの話ばっかりになってしまったけど、菅野くんも実はずっとそうで、カミナリグモは色々リード曲があるんですけど、【王様のミサイル】と【こわくない】とか、そういうのも好きだって言ってくれつつ、菅野くんは『【アイスグリーン】がめっちゃ好きだ』って」
啓:「へー」
ゴ:「『めちゃくちゃ好きで歌いたいぐらいだ』みたいな」
菅:「ははははは」
ゴ:「それを聞いた時にズキュンってきたのを俺すごく覚えてる」

ー 一同笑い ー

ゴ:「菅野くんは飲みに行って話すたびに、すごいカミナリグモに愛情を感じてくれてるのが、無言で分かるみたいな感じがあったりするから」
啓:「うれしいよね。菅野くんもFoZZtoneだったり、堀くんも他の色々やってるバンドだったりがあって、もちろん一緒にやってくれてはいるんだけど、自分の勝手な先入観で、、なんていうのかな、、『そこまでじゃない』って思ってたの(笑)」
啓:「今回こういう話を聞くと、うれしいし、そいうのが地盤にあって一緒にやってもらえてるっていうのはありがたいって思うよね、改めて」
ゴ:「菅野くんは常に愛情を感じてたから、一緒にやってくれるのは本当にある種自然なことぐらいに思っちゃってるから」
菅:「いやうれしいっすね」
ゴ:「ありがたいなぁって。。なんかこういう話ちょっと恥ずかしいよね(笑)」

ー 一同笑い ー

ゴ:「堀くんもそうだし、菅野くんもそうだし、、まあ今日だけだよ、こんなこと言うのは(笑)」

 

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